こんにちは!
フリーランスライターで着物愛好家の田中美咲です。
「着物って素敵だけど、なんだか高そう…」
「一式揃えるのにいくらかかるか分からなくて不安」
そう思っていませんか?
実は私も、着物に出会ったばかりの頃は全く同じ気持ちでした。
ウン十万円もするイメージがあって、自分には縁遠い世界だと思っていたんです。
でも、今では月数回、気軽に着物を楽しんでいます。
この記事では、かつての私と同じように感じているあなたへ向けて、「着物は本当に高いのか?」という疑問から、初心者でも無理なく始められる着物の選び方、そしてリアルな予算感まで、私の失敗談も交えながら正直にお話しします。
この記事を読み終える頃には、きっと着物がもっと身近な存在に感じられるはずですよ。
「着物は高い」は本当?そのイメージが作られた理由
私も最初は「呉服屋さんは怖くて入れない…」と思っていました
「着物」と聞くと、ショーウィンドウの奥に鎮座する、値段の付いていない豪華な反物を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
何を隠そう、私自身がそうでした。
着物に興味を持ち始めた頃、勇気を出して呉服屋さんの前まで行ってみるものの、その格式高い雰囲気に圧倒されて、結局お店の中には入れず…なんてことを繰り返していました。
「知識がないのに、入ったら何か買わされそう」
「そもそも、いくらくらいするのか見当もつかないから怖い」
そんな風に感じていたんです。
あなたも、もし同じような気持ちを抱えているなら、その気持ち、痛いほどよく分かります。
でも、その「着物=高級品」というイメージは、一体どこから来ているのでしょうか。
なぜ高い?伝統的な正絹(しょうけん)の着物の価格の内訳
着物が高価になるのには、ちゃんとした理由があります。
特に、結婚式などのフォーマルな場で着られることが多い「正絹(しょうけん)」、つまりシルク100%の着物は、いくつかの要因が重なって価格が上がります。
1. 素材そのものの価値
正絹の原料は、蚕(かいこ)の繭から取れる生糸です。
天然の繊維であり、その美しい光沢や滑らかな肌触りは、他の素材には代えがたい魅力があります。
この貴重な素材を、一着の着物を作るために12メートル以上も使うのですから、それだけでも高価になるのは頷けますよね。
2. 職人の手間暇
生地に美しい模様を染める「友禅染め」や、複雑な柄を織り出す「手織り」など、日本の伝統的な着物の多くは、専門の職人による手仕事で作られています。
一つの反物が完成するまでに、数ヶ月、時には一年以上かかることも珍しくありません。
その価格は、日本の美しい伝統技術や文化を守り、受け継いでいくための対価でもあるのです。
3. 複雑な流通構造
昔ながらの業界構造として、職人が作った着物が私たちの手元に届くまでに、問屋や仲介業者など、多くの会社を経由することがあります。
その過程でそれぞれに費用が上乗せされ、最終的な販売価格が高くなる、という側面もあると言われています。
このように、特に「ハレの日」に着るような伝統的な着物には、高価になるだけの理由があるのです。
でも大丈夫!今は洋服感覚で楽しめる着物がたくさんあるんです
「やっぱり、着物って簡単には手が出せないんだ…」
そうがっかりするのは、まだ早いですよ!
今お話ししたのは、あくまで伝統的な正絹の着物の一面に過ぎません。
現代では、私たちのライフスタイルに合わせて、もっと気軽に楽しめる着物がたくさん登場しています。
例えば、技術の進化によって生まれた「洗える着物」。
まるで洋服のように、自宅の洗濯機で手軽にお手入れできるんです。
さらに、リユース文化の浸透によって、質の良い中古の着物、いわゆる「リサイクル着物」や「アンティーク着物」を驚くような価格で見つけることもできます。
「着物=高い」という一面的なイメージだけで諦めてしまうのは、本当にもったいない!
次の章では、具体的な予算別に、初心者の方が無理なく始められる着物の種類をご紹介しますね。
【予算別】初心者におすすめ!手が届く着物の種類と相場ガイド
ここからは、あなたの予算に合わせて選べる、初心者さんにぴったりの着物を3つのコースでご紹介します。
それぞれのメリット・デメリットも正直にお伝えするので、ぜひ自分に合った一着を見つける参考にしてくださいね。
~3万円コース:まずはお試し!「洗える着物(ポリエステル)」
「とにかく一度、着物を着てお出かけしてみたい!」
そんなあなたに最初の一歩として最もおすすめなのが、ポリエステル素材の「洗える着物」です。
メリット
- 圧倒的な手軽さ:最大の魅力は、自宅の洗濯機で丸洗いできること。 ファンデーションが付いたり、食事で少し汚してしまったりしても、洋服感覚で洗えるので安心です。
- 天候を気にしない:雨に濡れてもシミになりにくいため、天気を気にせずお出かけの予定を立てられます。
- 価格が安い:新品でも1万円前後から見つけることができ、帯や小物がセットになった19点セットなども人気です。
デメリット
- 静電気が起きやすい:特に冬場はパチパチと静電気が起きやすいのが難点です。 静電気防止スプレーなどで対策しましょう。
- 風合いの違い:正絹に比べると、生地が硬く、特有の光沢感があります。 ただ、最近は技術が進歩し、正絹と見分けがつかないような高品質なポリエステル着物も増えています。
まずはこのコースで着物一式を揃えて、着付けに慣れたり、着物でのお出かけを楽しんだりするのが、失敗の少ない始め方だと思います。
3~5万円コース:普段着感覚でおしゃれに「木綿・ウールの着物」
「ポリエステルは少し味気ないかも…」「自然素材の着心地を試してみたい」
そんな方には、木綿やウールの着物がぴったりです。
洋服で言えば、コットンのシャツやウールのセーターのような存在。
素朴で優しい風合いが魅力で、普段着として日常のおしゃれに取り入れやすいのが特徴です。
- 木綿の着物:通気性や吸湿性に優れ、肌に優しい着心地です。 自宅で手洗いできるものが多く、洗うたびに肌に馴染んで柔らかくなるのも楽しめます。
- ウールの着物:暖かく、シワになりにくいのが特徴。 秋冬のカジュアルなお出かけに最適で、こちらも自宅で手入れが可能です。
ポリエステルの機能性も良いけれど、やっぱり自然素材が好き、という方におすすめの選択肢です。
5万円~コース:一点モノとの出会いを楽しむ「リサイクル・アンティーク着物」
「せっかくなら、質の良い正絹の着物を着てみたい!」
「他の人とは違う、個性的なデザインが好き」
そんなあなたには、宝探しのようなワクワク感が楽しめるリサイクル着物の世界が待っています。
リサイクル着物とは、一度人の手に渡った着物のこと。
専門店やオンラインショップ、フリーマーケットなどで見つけることができます。
魅力
- 価格:かつては数十万円したであろう高品質な正絹の着物が、数千円~数万円という驚きの価格で見つかることがあります。
- デザイン:現代にはない大胆な柄や、職人の手仕事が光るアンティーク着物など、まさに一点モノとの出会いが楽しめます。
選ぶ際の注意点
- サイズ確認:最も重要なのがサイズです。特に「裄丈(ゆきたけ)」という、首の付け根の中心から手首までの長さを必ず確認しましょう。 ここが短いと、少し残念な印象になってしまいます。
- 状態のチェック:シミや汚れ、生地の傷み、匂いなどをしっかり確認することが大切です。 信頼できるお店で購入することをおすすめします。
少し上級者向けに感じるかもしれませんが、自分だけの一着を見つけた時の喜びは格別ですよ。
着物だけじゃダメ!最初に揃えるべき小物リストと総額予算
さて、お気に入りの着物を見つけたら、次はいよいよ着付けに必要な小物を揃える番です。
「着物以外にも、色々必要で大変そう…」と感じるかもしれませんが、大丈夫。
一つひとつの役割を知れば、決して難しいことはありません。
これだけは必要!必須小物8点セットと役割
まずは、着物を着るために最低限必要な「必須小物」をリストアップしました。
これらは、美しい着姿を作るための縁の下の力持ちです。
小物名 | 役割 |
---|---|
1. 肌襦袢(はだじゅばん) | 着物の下着。汗や皮脂から長襦袢や着物を守ります。 |
2. 長襦袢(ながじゅばん) | 肌襦袢と着物の間に着るもの。着物が汚れるのを防ぎ、着姿の土台となります。 |
3. 腰紐(こしひも) | 着物や長襦袢がはだけないように、腰回りで結んで固定する紐。最低3本は必要です。 |
4. 伊達締め(だてじめ) | 腰紐の上から締めて、衿元やおはしょり(腰部分の折り返し)を整え、着崩れを防ぎます。 |
5. 帯板(おびいた) | 帯の前面に挟み込み、シワが寄るのを防いでスッキリ見せるための板。 |
6. 帯枕(おびまくら) | 帯結び(特にお太鼓結び)の形をふっくらと立体的に整えるための道具です。 |
7. 衿芯(えりしん) | 長襦袢の衿に入れて、衿元をパリッと美しく見せるための芯。 |
8. 足袋(たび) | 和装用の靴下。まずは基本の白を持っておくと間違いありません。 |
これらの小物は、着物ライフを楽しむ上であなたの相棒になる大切なアイテムたちです。
賢く揃えるコツは?セット販売と単品購入のメリット・デメリット
これらの小物を揃えるには、大きく分けて2つの方法があります。
セット販売
- メリット:必要なものが一度に揃い、単品で買うより割安なことが多い。初心者さんにはまずこちらがおすすめです。
- デメリット:セット内容は商品によって様々。品質も価格相応の場合があります。
単品購入
- メリット:自分の体型や好みに合わせて、こだわりのアイテムを選べる。
- デメリット:一つひとつ選ぶ手間がかかり、セットに比べて割高になる可能性がある。
私のおすすめは、まずは安価なセットを購入してみて、使っていく中で「これはもっと良いものが欲しいな」と感じたものから、少しずつ単品で買い足していく方法です。
特に、着付けのしやすさを左右する腰紐や伊達締め、肌に直接触れる肌襦袢などは、少し良いものを選ぶと着心地が格段にアップしますよ。
【実録】私が最初に一式揃えた時のリアルな金額
ここで、参考までに私が一番最初に一式揃えた時のリアルな金額を公開しますね!
- リサイクル着物(状態の良い正絹の小紋):8,000円
- リサイクル名古屋帯:5,000円
- 新品の着付け小物セット(肌襦袢、長襦袢含む):10,000円
- 新品の足袋、草履:7,000円
- 合計:30,000円
いかがでしょうか?
リサイクル品と新品をうまく組み合わせることで、正絹の着物を含めた一式が3万円で揃えられました。
「着物は高い」というイメージが、少し変わってきたのではないでしょうか。
購入だけじゃない!「レンタル」という賢い選択肢
「着てみたいけど、一式揃えるのはまだハードルが高いな…」
「結婚式に一度だけ着てみたいんだけど…」
そんな方には、「レンタル」という非常に賢い選択肢があります。
レンタルのメリット・デメリット
購入と比較した場合の、レンタルのメリットとデメリットを整理してみました。
メリット
- 手軽で安い:購入するよりもずっと安価に、必要なものが全て揃った状態で借りられます。
- メンテナンス不要:着用後のクリーニングやお手入れは一切不要。そのまま返却するだけでOKです。
- 保管場所が不要:自宅に収納スペースがなくても、気軽に楽しめます。
- 色々試せる:普段は選ばないような色や柄にも、気軽にチャレンジできます。
デメリット
- 自分のものにはならない:当然ですが、あくまで借り物なので、自分の資産にはなりません。
- サイズが合わないことも:標準的なサイズ展開が多いため、体型によってはぴったり合うものが見つかりにくい場合があります。
- 急な予定に対応しにくい:思い立った時にすぐ着る、ということは難しいです。
こんな人にはレンタルがおすすめ!
以上の点を踏まえると、特に以下のような方にはレンタルが向いていると言えます。
- 結婚式や卒業式など、特定のイベントで一度だけ着たい人
- まずは着物を着るという体験をしてみたい人
- 着物の保管場所やお手入れに不安がある人
- 色々な種類の着物を着て、自分に似合うスタイルを見つけたい人
購入とレンタル、それぞれの良さを理解して、自分の目的やライフスタイルに合った方法を選んでみてくださいね。
よくある質問(FAQ)
最後に、初心者さんからよくいただく質問にお答えします。
Q: 安い着物と高い着物、見た目で違いは分かりますか?
A: 正直なところ、専門家でなければ一見して素材の違いを見分けるのは難しい場合も多いです。
大切なのは価格よりも、TPOに合った「格」の着物を選ぶこと、自分のサイズに合っていること、そして何より自分が「この着物を着たい!」と心から思えるデザインであることです。
自信を持って素敵に着こなしていれば、それが一番の魅力になりますよ。
Q: 最初に買うなら、何色のどんな柄がおすすめですか?
A: 帯や小物で印象を変えやすい、クリーム色、薄いグレー、紺色などのベーシックな地色のものが着回しやすいです。
柄は、季節を問わない古典柄や、小さな花などが全体に散らされた「小紋(こもん)」という種類が、最初の1枚として大活躍してくれます。
洋服でいうところの、無地のワンピースや、ベーシックな柄のブラウスのような感覚で選ぶと失敗が少ないですよ。
Q: 着物を買っても、着付けができません…
A: 心配いりません!
今はYouTubeなどの動画で無料で学べますし、多くの着付け教室がワンコインの体験レッスンなどを実施しています。
私も最初は本とにらめっこしながら、何度も練習しました。
まずは気軽に試してみて、自分に合った学習方法を見つけるのがおすすめです。
「習うより慣れろ」で、きっと着られるようになります。
Q: リサイクル着物を選ぶとき、一番の注意点は何ですか?
A: 「サイズ」、特に「裄丈(ゆきたけ)」です!
裄丈とは、首の付け根の中心から、肩を通って手首のくるぶしまでの長さのこと。
ここが短いと、下に着ている長襦袢の袖が見えてしまい、少し格好がつかない印象になってしまいます。
事前に自分の裄丈を測っておき、お店の人に伝えたり、ネットショップのサイズ表記をしっかり確認したりすると、失敗が格段に減ります。
Q: 着物の保管は大変じゃないですか?
A: 正絹の着物は湿気や虫に弱いので、伝統的には桐のタンスが理想とされています。
でも、現代の住宅事情では難しいですよね。
今は、通気性の良い不織布でできた「たとう紙」という着物専用の保管袋に入れて、クローゼットの枕棚など、湿気が溜まりにくい高い場所に保管するだけでも大丈夫です。
洗えるポリエステルの着物なら、洋服と同じように畳んで衣装ケースに収納できますよ。
まとめ
「着物は高い」というイメージ、少しは変わりましたか?
伝統的な技法で作られた高価な着物がある一方で、私たちのライフスタイルに合わせて気軽に楽しめる、たくさんの選択肢があるのが現代の着物の魅力です。
大切なのは、最初から完璧を目指さないこと。
- まずは3万円の予算で洗える着物一式を揃えてみる
- 近所のリサイクルショップを覗いてみる
- 友達と着物レンタルで浅草を散策してみる
そんな小さな一歩からで大丈夫です。
この記事が、あなたの「着物って素敵だな」という気持ちを、「着物を着てみよう!」という行動に変えるきっかけになれたら、これ以上嬉しいことはありません。
さあ、一緒に着物ライフを楽しみましょう!