「お墓を建てたいけれど、費用が高そうで不安…」
「納骨堂という選択肢を聞いたけれど、一体いくらかかるのだろう？」
はじめまして。
株式会社goennでCPO（チーフプロダクトオフィサー）を務めております、葬祭カウンセラーの新原秀崇と申します。
これまで多くの方のお墓や供養に関するご相談をお受けしてきましたが、費用の問題は、誰もが直面する大きな悩みの一つです。
お墓の費用は、人生における大きな決断の一つです。
だからこそ、正しい知識を身につけ、ご自身やご家族が心から納得できる選択をしていただきたいと願っています。
この記事では、納骨堂の費用について、専門家の視点から徹底的に解説します。
読み終える頃には、以下のことが明確になっているはずです。
- 納骨堂の全体的な費用相場
- タイプや人数による具体的な価格の違い
- 後悔しないための賢い選び方と注意点
どうぞ、肩の力を抜いて、リラックスしてお読みください。
この記事が、あなたの不安を解消し、未来への一歩を踏み出すためのお手伝いができれば幸いです。
納骨堂の費用相場は平均80.3万円｜一般墓より約70万円安い
まず、皆さんが最も知りたいであろう結論からお伝えします。
2024年の調査によると、納骨堂の平均購入価格は80.3万円です。 [1]
これは、全国の霊園・墓地からお墓を探せる「いいお墓」が実施した調査による最新のデータです。
この価格帯は、多くの方にとって現実的な選択肢となり得るのではないでしょうか。
一般墓や樹木葬との費用比較
納骨堂の費用を他の供養方法と比較してみましょう。
| 供養方法 | 平均購入価格（2024年） | 納骨堂との価格差 |
|---|---|---|
| 納骨堂 | 80.3万円 | – |
| 一般墓 | 149.5万円 | 約+70万円 |
| 樹木葬 | 63.7万円 | 約-16万円 |
（出典：[【第15回】お墓の消費者全国実態調査（2024年）] [1]）
表を見ていただくと分かる通り、納骨堂は一般墓に比べて約70万円も費用を抑えることができます。
なぜこれほど価格が違うのでしょうか？
その主な理由は、墓石代と土地（墓地）の使用料が不要である点にあります。
一般墓では数百万円かかることもある墓石の建立費用がかからないため、初期費用を大幅に削減できるのです。
一方で、樹木葬と比較すると納骨堂の方が約16万円高くなっています。
しかし、納骨堂には「屋内で天候に左右されず快適にお参りできる」「管理の手間がかからない」といった、費用だけでは測れない大きなメリットがあります。
葬祭カウンセラーとしてお伝えしたいのは、「費用が安いから」という理由だけで選ぶのではなく、ご自身のライフスタイルや故人への想いに合った供養の形を見つけることが何よりも大切だということです。
タイプ別の費用相場｜ロッカー型は20万円〜、自動搬送型は80万円〜
納骨堂には、様々なタイプがあり、それぞれ費用が大きく異なります。
ここでは、代表的な5つのタイプの特徴と費用相場を、具体的な実例を交えながら見ていきましょう。
| 納骨堂のタイプ | 費用相場 | 特徴 |
|---|---|---|
| ロッカー型 | 20万円～80万円 | シンプルな棚が並ぶ、最も手頃なタイプ |
| 仏壇型 | 50万円～150万円 | 上段が仏壇、下段が納骨スペースになっており、家族代々で利用可能 |
| 自動搬送型 | 80万円～150万円 | ICカードで遺骨が参拝ブースに自動で運ばれる、都市部に多い最新式 |
| 位牌型 | 10万円～30万円 | 位牌を並べて供養する、最も費用を抑えられるタイプ |
| 墓石型 | 50万円～150万円 | 屋内に墓石を設置し、従来のお墓参りの形を維持できる |
ロッカー型納骨堂｜20万円～80万円
コインロッカーのように、鍵付きの棚がずらりと並んだタイプの納骨堂です。
シンプルな構造で、個別の礼拝スペースがないことが多いため、費用を最も抑えやすいのが特徴です。
【実例】
- 1人用：38万円（東京都・南春寺 屋内納骨堂 光明）[2]
- 夫婦用：80万円（埼玉県・武蔵陵苑）[2]
【葬祭カウンセラーからのアドバイス】
費用を抑えたい方に人気のタイプですが、契約前には必ず現地を見学し、スペースの広さや雰囲気を確認することが大切です。「思ったより狭くてお供え物が置けない」といった後悔をしないようにしましょう。
仏壇型納骨堂｜50万円～150万円
上段が仏壇、下段が納骨スペースとなっているタイプで、「霊廟（れいびょう）」とも呼ばれます。
仏壇部分に本尊を祀り、遺影やお花、お供え物を飾ることができます。スペースも比較的広く、複数の骨壺を安置できるため、家族代々のお墓として利用したい方に適しています。
【実例】
- 1人用：36万円（東京都・清法山 東京徳純院）[2]
- 6人用：65万円（東京都・真清浄寺 神楽坂霊廟）[2]
【専門家の見解】
ご自宅に仏壇がないご家庭でも、ここに来れば仏壇と納骨堂の両方にお参りができるというメリットがあります。ご家族の心の拠り所となるでしょう。
自動搬送型納骨堂｜80万円～150万円
ICカードをかざすと、バックヤードに保管されている遺骨が参拝ブースまで自動で運ばれてくる、最新式の納骨堂です。「ビル型」「マンション型」とも呼ばれ、広い土地を必要としないため、交通の便が良い都市部に多く見られます。
【実例】
- 夫婦用：65万円（東京都・吾妻橋 天空陵苑）[2]
- 家族用：120万円前後 [3]
【専門家の見解】
費用は比較的高めですが、お墓の掃除といった管理の手間が一切かからず、セキュリティ面でも安心できるのが大きな魅力です。天候を気にせず、手ぶらでお参りに行けるため、お参りのハードルがぐっと下がります。
位牌型納骨堂｜10万円～30万円
祭壇に位牌を並べて供養するタイプです。遺骨は、位牌とは別の合祀墓や収蔵スペースに安置されることが一般的です。
費用を最もリーズナブルに抑えられるのがこのタイプです。
【実例】
- 個人用：7.5万円（東京都・東京徳純院）[4]
【葬祭カウンセラーからのアドバイス】
最も手頃な価格帯ですが、契約前に「遺骨がどのように扱われるのか」を必ず確認することが重要です。合祀されることに抵抗がある場合は、他のタイプを検討しましょう。
墓石型納骨堂｜50万円～150万円
屋内に、従来のお墓と同じように墓石を建立するタイプです。「室内墓所」とも呼ばれます。
天候に左右されずに、これまで通りのお墓参りのスタイルを維持したいという方に選ばれています。ただし、墓石代が別途発生するため、納骨堂の中では最も高額なタイプとなります。
人数別の費用目安｜1人用は30万円〜、家族用は100万円前後
納骨堂は、何人で利用するかによっても費用が変わります。
ここでは、人数別の費用目安を見ていきましょう。
| 人数 | 費用目安 |
|---|---|
| 1人用（個人用） | 30万円～50万円 |
| 夫婦用（2人用） | 50万円～80万円 |
| 家族用（4人以上） | 100万円～150万円 |
1人用（個人用）｜30万円～50万円
おひとり様の終活としてご自身の納骨堂を生前契約される方や、配偶者が既に別のお墓に入っている方などに選ばれています。費用は10万円台から見つけることも可能です。
夫婦用（2人用）｜50万円～80万円
「夫婦で一緒に眠りたい」というご希望は、私が受けるご相談の中でも非常に多いケースです。ロッカー型や仏壇型など、様々なタイプで夫婦用のプランが用意されています。
家族用（4人以上）｜100万円～150万円
収蔵できる人数が増えるほど費用は高額になりますが、1人あたりの金額で考えると割安になるケースが多いです。
【葬祭カウンセラーからのアドバイス】
家族用の納骨堂を契約する際は、「将来的に誰が、何人入る可能性があるのか」をご家族で事前にしっかりと話し合うことが非常に重要です。「いざ納骨しようとしたらスペースが足りなかった」という事態を避けるためにも、長期的な視点で検討しましょう。
納骨堂の費用内訳｜永代供養料・年間管理費・法要料など
納骨堂の費用は、パンフレットに書かれている「使用料」だけではありません。
契約後に思わぬ出費で慌てないためにも、費用の内訳を正しく理解しておきましょう。
| 費用項目 | 費用相場 | 内容 |
|---|---|---|
| 永代供養料 | 10万円～150万円 | 遺骨を永代にわたって供養・管理してもらうための費用 |
| 年間管理費 | 約1万円 | 施設の維持・管理のための費用。毎年、または一括で支払う |
| 法要料 | 3万円～5万円 | 納骨時や回忌法要の際に、僧侶にお渡しするお布施 |
| 戒名料 | 5万円～100万円 | 仏弟子となった証として授かる名前。宗派やランクで大きく異なる |
| 銘板彫刻料 | 3万円～5万円 | 銘板に名前や戒名を彫刻するための費用 |
| その他 | – | 仏具代、カードキー代など、施設によって発生する費用 |
永代供養料｜10万円～150万円
永代供養料とは、お墓を継ぐ人がいない方に代わって、寺院や霊園が遺骨を永代にわたって供養・管理してくれるための費用です。多くの場合、この費用は納骨堂の使用料に含まれています。
「永代」という言葉から「永久に個別に安置してくれる」と誤解されがちですが、そうではありません。
一般的には、13回忌や33回忌といった一定期間が過ぎると、遺骨は合祀墓（ごうしぼ）に移され、他の人々の遺骨と一緒に供養されます。この個別で安置してくれる期間が長いほど、永代供養料は高くなる傾向にあります。
年間管理費｜約1万円（施設により異なる）
共用スペースの清掃や光熱費、施設の維持・管理のために支払う費用です。相場は年間1万円前後ですが、施設や立地によって異なります。
注意したいのは、支払い方法です。毎年支払うケースもあれば、契約時に数十年分を一括で前払いするケースもあります。また、永代供養料に生涯の管理費が含まれており、年間管理費が一切かからない施設もあります。
法要料｜3万円～5万円
納骨する際の「納骨法要」や、一周忌、三回忌といった「回忌法要」を執り行う際に、読経していただく僧侶にお渡しするお布施です。これは、納骨堂の費用とは別に必要となることがほとんどです。
戒名料｜5万円～100万円
戒名（かいみょう）とは、仏教の教えに帰依し、仏弟子となった証として授かる名前のことです。仏教式の供養を希望する場合に必要となります。
費用は、戒名のランクによって大きく異なり、一般的な「信士・信女」であれば5万円程度からですが、社会的貢献度が高い人などに贈られる「院居士・院大姉」といった上位の戒名になると50万円以上、時には100万円を超えることもあります。
もちろん、無宗教の方や、特に戒名を希望しない場合は不要です。
銘板彫刻料｜3万円～5万円
ロッカー型や仏壇型の納骨堂の銘板に、故人の名前や戒名、没年月日などを彫刻するための費用です。施設によっては、永代供養料に含まれている場合もあります。
【葬祭カウンセラーからのアドバイス】
契約前には、パンフレットや見積書を隅々まで確認し、「提示されている金額に何が含まれ、何が別途必要なのか」を一つひとつ明確にすることが、後々のトラブルを防ぐ上で最も重要です。
納骨堂の費用を安く抑える5つの方法｜専門家が教える賢い選び方
「できるだけ費用を抑えたい」というのは、誰もが思う正直な気持ちでしょう。
ここでは、納骨堂の費用を賢く抑えるための5つの方法をご紹介します。
- 複数の納骨堂を比較検討する
- 安価なタイプの納骨堂を選ぶ
- 公営の納骨堂を選ぶ
- 必要最低限の人数におさえる
- 個別安置期間を短くする
1. 複数の納骨堂を比較検討する
最も基本的で、そして最も重要なポイントです。
同じエリア、同じようなタイプの納骨堂であっても、運営する寺院や企業によって費用は大きく異なります。
最低でも2〜3ヶ所の施設から資料を取り寄せ、見積もりを比較検討しましょう。
そうすることで、ご自身の希望条件における費用相場が分かり、不要なオプションなどを冷静に判断できるようになります。
2. 安価なタイプの納骨堂を選ぶ
前述の通り、納骨堂のタイプによって費用は大きく変わります。
費用を最優先に考えるのであれば、位牌型（10万円〜）やロッカー型（20万円〜）が選択肢となるでしょう。
ただし、安さだけで選んでしまうと、「お参りの実感が湧かない」「遺骨が合祀されることに後から抵抗を感じた」といった後悔につながる可能性もあります。費用と、ご自身が大切にしたい供養の形とのバランスを考えることが大切です。
3. 公営の納骨堂を選ぶ
納骨堂は、運営母体によって「民営」「寺院」「公営」の3つに分けられます。
このうち、都道府県や市町村が運営する公営の納骨堂は、費用が安いのが最大のメリットです。
公営納骨堂の費用相場：20万円～60万円 [5]
民営の納骨堂と比較して、半分以下の費用で利用できるケースも少なくありません。
ただし、「その自治体に一定期間居住していること」「既にご遺骨があること」といった申し込み条件が定められている場合が多く、誰でも利用できるわけではありません。また、人気が高く、抽選になることも珍しくありません。
まずはお住まいの自治体のホームページを確認したり、役所に問い合わせてみたりすることをお勧めします。
4. 必要最低限の人数におさえる
当然のことながら、納骨する人数が増えれば増えるほど、広いスペースが必要になり、費用は高くなります。
「将来的には子供たちも…」と考えるお気持ちも分かりますが、お子さんにはお子さんの考えがあるかもしれません。
まずはご夫婦のみ、あるいはご自身のみで検討し、必要最低限の人数で契約することも、費用を抑える有効な手段です。
5. 個別安置期間を短くする
永代供養付きの納骨堂の場合、費用は個別安置期間の長さに比例します。
例えば、「個別安置期間33年」のプランと「個別安置期間13年」のプランでは、数十万円の差額が出ることもあります。
「自分がお参りに行く間だけ個別に安置されていれば十分」と考えるのであれば、個別安置期間が短いプランを選ぶことで、費用を抑えることができます。
ただし、一度合祀されると二度と遺骨を取り出すことはできなくなるため、この選択は慎重に行う必要があります。
納骨堂選びで失敗しないための5つのチェックポイント
費用面だけでなく、契約後に「こんなはずではなかった」と後悔しないために、必ず確認していただきたい5つのチェックポイントがあります。これは、私がご相談者様に必ずお伝えしていることです。
- 個別安置期間（使用期間）を必ず確認する
- 立地・アクセスの良さを確認する
- 現地見学で実際の雰囲気を確かめる
- 費用の内訳と追加費用を明確にする
- 宗旨宗派・檀家条件を確認する
1. 個別安置期間（使用期間）を必ず確認する
最も重要なポイントです。
多くの納骨堂では、遺骨を個別に安置する期間が定められており、その期間を過ぎると合祀墓に移されます。
「知らないうちに合祀されていて、親族とトラブルになった」
「いずれはお墓を建てて遺骨を移そうと思っていたのに、取り出せなくなってしまった」
これは、実際に私が耳にした悲しい事例です。
契約時に、「何年間、個別に安置されるのか」「期間終了後はどうなるのか」を必ず、書面で確認してください。
2. 立地・アクセスの良さを確認する
お墓参りは、一度きりではありません。
ご自身が高齢になった時のこと、ご家族がお参りに来てくれる時のことを想像してみてください。
- 自宅から無理なく通える距離か？
- 最寄り駅から徒歩何分か？
- 公共交通機関や送迎バスはあるか？
- 駐車場は完備されているか？
お参りの足が遠のいてしまっては、元も子もありません。長期的な視点で、通いやすさを確認しましょう。
3. 現地見学で実際の雰囲気を確かめる
ホームページやパンフレットの写真や文章だけでは、分からないことが沢山あります。
- 施設の雰囲気は明るく、清潔か？
- 清掃は行き届いているか？
- 管理スタッフの対応は丁寧か？
- 他の参拝者と会った時のプライバシーは保たれているか？
実際に足を運び、ご自身の目で見て、肌で感じることが大切です。「ここなら、故人も安心して眠れそうだ」「ここなら、気持ちよくお参りができそうだ」と心から思える場所を選びましょう。
4. 費用の内訳と追加費用を明確にする
「費用の内訳」の章でもお伝えしましたが、契約前に総額でいくらかかるのかを把握することが不可欠です。
- 年間管理費はかかるのか？かかるとしたらいくらか？
- 法要料や戒名料は必須か？
- 銘板の彫刻料は含まれているか？
見積書に記載されている項目について、一つひとつ丁寧に説明を求め、少しでも疑問に思う点があれば、遠慮なく質問してください。
5. 宗旨宗派・檀家条件を確認する
最近では、宗教・宗派を問わずに利用できる納骨堂がほとんどです。
しかし、一部の寺院が運営する納骨堂では、「在来仏教のみ」といった制限があったり、その寺院の「檀家（だんか）」になることが契約の条件だったりする場合があります。
檀家になると、お寺の行事への参加や、寄付などを求められることもあります。ご自身の信仰や考え方に合うかどうかを、事前に確認しておきましょう。
納骨堂のデメリットと注意点｜契約前に知っておくべきこと
納骨堂は費用面や管理面で多くのメリットがありますが、もちろんデメリットも存在します。
契約前にデメリットを正しく理解しておくことが、後悔を防ぐためには不可欠です。
1. 一定期間で合葬される可能性がある
これは、最大の注意点と言えるでしょう。
「永代供養」という言葉のイメージとは裏腹に、多くの納骨堂では個別安置期間が終了すると、他の人々の遺骨と一緒に合祀されます。
一度合祀されると、二度と特定の故人の遺骨だけを取り出すことはできません。
この点を親族に十分に説明しないまま契約を進めてしまうと、「なぜ勝手に決めたんだ」と、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。
2. 預けられる遺骨の数に制限がある
納骨堂は、限られたスペースに骨壺を収めるため、当然ながら納骨できる数には限りがあります。
「将来、家族が増えた時に一緒に入れない」
「先祖代々の遺骨を全てまとめたいけれど、スペースが足りない」
といった問題が起こる可能性があります。契約時に納骨可能な人数を確認するとともに、将来的に遺骨がいっぱいになった場合にどうするのか（別の納骨堂を契約する、合祀するなど）を考えておく必要があります。
3. 建物・施設の維持管理への不安
納骨堂は建物である以上、経年による老朽化は避けられません。
運営母体の経営状況によっては、十分な修繕が行われなかったり、最悪の場合、経営破綻して施設が閉鎖されてしまうというリスクもゼロではありません。
また、地震や火災といった災害時の対応策がどうなっているのかも、確認しておきたいポイントです。大切な遺骨を預ける場所だからこそ、運営状況の健全性や管理体制の信頼性を見極めることが重要です。
4. お供えに制限がある
屋外のお墓と違い、屋内施設である納骨堂では、火災防止や衛生管理の観点から、お供え物に制限が設けられていることがほとんどです。
- 線香やロウソクなど、火の使用が禁止されている
- 生花の持ち込みが禁止（造花のみ可）
- 食べ物のお供えが禁止
「お線香の香りがしないと、お参りした気がしない」「故人が好きだったお酒をお供えしたい」といった、従来のお墓参りのイメージを持っている方にとっては、物足りなさを感じるかもしれません。
よくある質問（FAQ）
ここでは、納骨堂の費用に関してよく寄せられる質問にお答えします。
Q1: 納骨堂の費用は、最終的に誰が支払うのですか？
A1: 基本的には、お墓の契約者が支払います。
生前にご自身で契約される場合は、ご本人が初期費用と管理費を支払うのが一般的です。残された家族に負担をかけたくないという想いから、管理費も一括で前払いされる方も少なくありません。
契約者が亡くなった後にご家族が契約する場合は、そのご家族（主にお墓を継ぐ方）が支払うことになります。
【葬祭カウンセラーからの注意点】
万が一、年間管理費の支払いが滞ってしまうと、契約に基づいて遺骨が合祀墓へ移されてしまう施設がほとんどです。誰が責任を持って支払いを続けるのかを、ご家族間で明確にしておくことが大切です。
Q2: 納骨堂と一般墓の費用の違いは、具体的に何ですか？
A2: 2024年のデータでは、納骨堂の平均費用が80.3万円であるのに対し、一般墓は149.5万円と、納骨堂の方が約70万円安いという結果が出ています。[1]
この価格差の最も大きな要因は、「墓石代」と「土地（永代使用料）」が不要である点です。一般墓では、この2つで100万円以上かかることも珍しくありません。
Q3: 納骨堂の年間管理費は、平均でいくらくらいですか？
A3: 年間管理費の相場は、年間1万円前後です。[1]
ただし、これはあくまで目安であり、都心の一等地にある施設などでは年間2万円以上かかる場合もあります。逆に、契約時に一括で支払うことで、その後の年間管理費が不要になる施設も増えています。契約前に必ず確認しましょう。
Q4: 納骨堂で最も費用を抑えられるタイプはどれですか？
A4: 位牌型納骨堂が最も費用を抑えられ、相場は10万円～30万円です。[1]
次に、ロッカー型納骨堂（20万円～80万円）が比較的安価な選択肢となります。
【専門家からのアドバイス】
費用は非常に重要な要素ですが、「安さ」だけで選んでしまうと、後悔につながるケースも少なくありません。お参りのしやすさや、遺骨の安置方法など、ご自身が何を大切にしたいのかを総合的に考えて選ぶことを強くお勧めします。
Q5: 公営の納骨堂は、誰でも利用できますか？
A5: いいえ、誰でも利用できるわけではありません。
公営の納骨堂は、費用が安いことから人気が高く、多くの場合、申し込みに条件が設けられています。
【主な利用条件の例】
- その自治体に一定期間以上、住民票があること
- 埋葬すべき遺骨を既にお持ちであること（生前申し込み不可の場合）
- お墓を継ぐ親族がいること
これらの条件は自治体によって異なります。また、応募者多数の場合は抽選となることがほとんどです。まずはお住まいの自治体のホームページなどで詳細を確認してみてください。
まとめ
この記事では、納骨堂の費用について、相場から内訳、安く抑える方法、そして後悔しないためのチェックポイントまで、専門家の視点で詳しく解説してきました。
最後に、重要なポイントをもう一度振り返っておきましょう。
- 納骨堂の費用相場は平均80.3万円で、一般墓より約70万円安い。
- 費用はタイプや人数によって10万円～150万円以上と大きな幅がある。
- 費用を抑えるには、複数の施設を比較し、公営や安価なタイプを選ぶのが有効。
- 契約時には、「個別安置期間」と「費用の総額」を必ず確認する。
- 費用だけでなく、立地や雰囲気、供養の形がご自身の希望に合っているかが何より大切。
納骨堂は、費用面でも、管理のしやすさという面でも、現代のライフスタイルに合った非常に魅力的な選択肢です。
しかし、最も大切なのは、故人を想い、ご自身やご家族が心から納得できる供養の形を見つけることです。
この記事が、そのための第一歩となれば、これほど嬉しいことはありません。
もし、まだ不安なことや分からないことがあれば、一人で抱え込まずに、ぜひ私たちのような専門家にご相談ください。
あなたの心に寄り添い、最適な選択ができるよう、誠心誠意お手伝いさせていただきます。
まずは、気になる納骨堂の資料請求から始めてみてはいかがでしょうか。
