今年も夏祭りのシーズンがやってきましたね。
綿あめやりんご飴、かき氷を見ると心が浮き立つ一方、「子供に食べさせても大丈夫かな」と気になる方も多いのではないでしょうか。
野田阪神歯科クリニックで歯科衛生士主任を務めている私も、屋台のあの雰囲気は大好きです。
むし歯になる仕組みを知って少し工夫するだけで、屋台グルメは我慢しなくても楽しめます。
この記事では、メニュー別の注意点からその場でできるケア、ご家族で気をつけたいポイントまで分かりやすくお伝えします。
【この記事の結論】夏祭りの屋台グルメから歯を守る5つのポイント
- 綿あめやりんご飴は、食べる時間を区切ってダラダラ食べを避ければ、我慢する必要はありません。
- 綿あめは家族で分ける、りんご飴は食べやすく切ることで、糖分の量と歯への付着時間を減らせます。
- 食べ終わったら、会場で水や無糖のお茶を使って口をすすぐだけでも糖分や食べかすを減らせます。
- 帰宅後は、年齢に合ったフッ素配合歯磨き粉を使い、子どもの仕上げ磨きまで行いましょう。
- 冷たいものが繰り返ししみる、または痛みが続く場合は、早めに歯科医院を受診してください。

むし歯の原因を知れば、夏祭りの屋台グルメも怖くない
むし歯は「歯質・細菌・糖分」がそろったときに起こります
まず知っておいていただきたいのが、むし歯がどうやってできるかという仕組みです。
厚生労働省の情報によると、むし歯は歯の質、口の中の細菌、そして糖分を含む食べ物という3つの要素がそろったときに発生します。
口の中の細菌が糖分をエサにして酸を作り出し、その酸が歯の表面を少しずつ溶かしてしまうことでむし歯へと進んでいくのです。
甘いものを食べたからといって、すぐにむし歯になるわけではありません。
甘いものを摂る総量だけでなく、摂取する回数を減らすことも、むし歯予防には効果的だとされています。
「今日は特別な日だから」と割り切って楽しみつつ、日々の食習慣では量と回数を意識してみてくださいね。
屋台グルメには「糖分・粘着性・酸性・食べる頻度」の4つの落とし穴があります
屋台グルメがむし歯になりやすいと言われるのには理由があります。
公益財団法人8020推進財団によると、むし歯は歯の質やむし歯菌に加えて、糖質を頻繁にとることと、歯が酸にさらされる時間の長さが関係しています。
屋台グルメには、以下の4つの落とし穴が当てはまりやすいのです。
- 糖分:綿あめのように糖分がたっぷり含まれている
- 粘着性:りんご飴のように口の中に長く残りやすい
- 酸性:果汁や酸味料を含む製品では酸性の場合がある
- 頻度:いろいろな屋台を回りながら少しずつ食べ続け、食べる回数が増えやすい
公益社団法人日本小児歯科学会の情報では、pH5.4前後はエナメル質が脱灰しやすくなる目安とされています。
糖分は細菌による酸の産生を通じてむし歯に関わり、低pHの飲食物を頻繁にとることは酸蝕症に関わります。両者は成り立ちが異なるため、分けて考える必要があります。
とはいえ、屋台グルメを避けましょうという話ではありません。
食べる時間を区切る、食後に水ですすぐ、帰宅後に歯を磨くといった対策を組み合わせれば、リスクを下げながら楽しめます。
綿あめ・りんご飴・かき氷…屋台の人気メニュー別、歯へのリスクと賢い食べ方
綿あめ(わたあめ)―ふわふわでも糖分はしっかり
綿あめは、ふわふわとした見た目から軽い食べ物に感じられますが、原料は砂糖そのものです。
想像以上に糖分が凝縮されており、あの大きなふくらみひとつで、思っている以上の糖分を口にしていることになります。
ただし口の中に入れるとすぐに溶けてしまうため、りんご飴のように長時間歯にくっついたままになることは少ないのが特徴です。
だからといって食べ放題にしてよいわけではありません。
家族で分けて一人あたりの量を減らし、時間を決めて食べ終えるのがおすすめです。
食べ終わったあとに水やお茶を一口飲んでおくと、口の中に残った糖分を洗い流す助けにもなります。
りんご飴―歯にくっつきやすい理由と上手な食べ方のコツ
りんご飴は、飴の部分が唾液で軟らかくなり、歯にくっつきやすいという特徴があります。
特に奥歯の溝や歯と歯の間に入り込んでしまうと、うがいだけではなかなか取れないこともありますよね。
糖分が長く歯の表面に残ると、その分だけむし歯の原因になる酸にさらされる時間が長くなってしまいます。
おすすめは、食べやすい大きさに切り、時間を決めて食べる方法です。
硬い飴を長くなめ続けると、糖分が口の中にとどまる時間も長くなります。
当院にいらっしゃる患者さんにも、よくこの食べ方をご紹介しており、お子さんと一緒に試していただくと好評です。
食べ終わったあとは水ですすぎ、帰宅後に歯を磨きましょう。
かき氷―「しみる」のは虫歯?知覚過敏?その見分け方
かき氷を食べて歯がキーンとしみると感じたことはありませんか。
短時間で治まる痛みは知覚過敏でみられますが、むし歯や歯の亀裂などでも似た症状が出ます。
症状だけで原因を見分けるのは難しいため、繰り返す場合や痛みが続く場合は歯科医院で確認してください。
知覚過敏は、歯の表面のエナメル質がすり減ったり、歯ぐきが下がって内部の象牙質が露出したりすることで起こりやすくなります。
また、果汁や酸味料を含む酸性のシロップでは、頻繁な摂取が酸蝕症のリスクにつながることがあります。
酸味の強い飲食物を多く口にした直後は、まず水ですすぎ、強い力で磨くのは避けましょう。
通常の食事後は、早めにやさしく磨いて構いません。
ちなみに、かき氷を食べたときに頭がキーンと痛くなることがありますが、これは歯とは別の原因で起こる現象で、急激な冷たい刺激が神経や血管に影響することで生じるといわれています。
歯がしみる感覚と紛らわしいので、混同しないようにしましょう。
3つのメニューの特徴と対策をまとめると、以下のとおりです。
| メニュー | 歯へのリスク | 対策 |
|---|---|---|
| 綿あめ | 糖分が凝縮されている | 家族で分け合い、食後にうがいをする |
| りんご飴 | 歯にくっつきやすい | 食べやすい大きさに切り、時間を決めて食べる |
| かき氷 | 酸性のシロップによる酸蝕症、知覚過敏との混同 | 酸味の強いものを口にした直後は水ですすぐ |
屋台で歯磨きできないときの、その場でできるお口ケア
まずは「お水やお茶でうがい」だけでも効果的です
夏祭りの会場に歯ブラシを持って行くのは現実的ではありませんよね。
そんなときは、お水やお茶でうがいをするだけでも、口の中に残った糖分や食べかすをある程度洗い流すことができます。
屋台グルメを食べ終えたタイミングで、一口だけでもうがいをする習慣をつけておくと安心です。
水分補給を兼ねて、麦茶など糖分を含まない飲み物を選ぶのもポイントです。
スポーツドリンクやジュースは熱中症対策として便利ですが、糖分が多く含まれているものもあるため、飲みすぎには注意し、できればストローを使うと歯への接触を減らせます。
暑い時期は水分補給が何より大切ですので、無理に我慢させず、飲んだあとのひと工夫で対応してあげてください。
キシリトールガムなど「携帯できるお口ケアグッズ」を味方に
無糖のキシリトールガムを噛むことも、その場でできる補助的なケアです。
無糖ガムを噛むと唾液の分泌が促され、口の中の酸を中和する助けになります。
キシリトールは、むし歯の原因菌が酸を作る材料になりにくい甘味料です。
ただし、キシリトールガム自体のむし歯予防効果については研究結果が一定しておらず、歯磨きの代わりにはなりません。
お祭りに出かける前に、ポーチやカバンにひとつ入れておくと安心です。
外出時の補助ケアには無糖ガムを選びましょう。
キシリトールを配合した製品を選ぶ場合、日本歯科医師会は糖類0グラムで、糖質中のキシリトール割合が50%以上のガムやタブレットを目安として紹介しています。
お子さんの場合は、誤って飲み込んでしまわないよう、ガムを安全に噛める年齢になってから、見守りながら取り入れてあげてくださいね。
夏祭りの会場で歯磨きができなくても、以下のような工夫でお口への負担をぐっと減らすことができます。
- 屋台グルメを食べ終えたら、お水やお茶で軽くうがいをする
- 水分補給は麦茶など糖分を含まない飲み物を選ぶ
- 無糖のキシリトールガムをポーチに携帯しておく
子供と一緒に夏祭りを楽しむために、保護者が気をつけたいポイント
「ダラダラ食べ」を避け、食べる時間を区切ってあげましょう
屋台を回りながら長時間にわたって少しずつ食べ続けると、口の中が酸性の状態にさらされ続けてしまい、むし歯のリスクが高まります。
この屋台を回り終えたら一区切りというように、食べる時間をなんとなくでも区切ってあげると、お口への負担を減らすことができます。
「今日は綿あめとりんご飴のどちらか一つにしようね」など、あらかじめお子さんと決めておくのも良い方法です。
決めごとを一緒に考えることで、お子さん自身も自分の身体を大切にする意識を持つきっかけになります。
仕上げ磨きが苦手なお子さんにも、無理なく続けられる工夫を
お祭りで遊び疲れて眠くなってしまい、仕上げ磨きを嫌がるお子さんも多いのではないでしょうか。
そんなときは、無理に完璧を目指さず、まずは軽く磨くだけでもよいので習慣を途切れさせないことを大切にしてください。
歯ブラシを見ただけで泣いてしまうお子さんには、鏡の前で親御さんが先に楽しそうに磨いてみせるなど、遊び感覚を取り入れるのもおすすめです。
当院では、歯医者を怖がるお子さんへの対応にも力を入れており、小さな一歩を積み重ねることの大切さをいつもお伝えしています。
もし食べ過ぎてしまった日があっても、可能な範囲で就寝前に磨き、翌日以降も普段のケアを続けましょう。
1回の歯磨きですべて帳消しになるわけではありませんが、あまり気負わずに向き合ってくださいね。
夏祭りの後こそ大切な、おうちでのアフターケアと定期検診のすすめ
帰宅後は、フッ素配合歯磨き粉での丁寧な仕上げ磨きを
夏祭りを楽しんだ日の夜こそ、いつも以上に丁寧な歯磨きを心がけましょう。
厚生労働省の情報によると、フッ素配合の歯磨き粉にはむし歯を予防する効果があるとされています。
年齢によって適した量の目安は、以下のとおりです。
- 歯が生えてから2歳頃まで:米粒程度の量
- 3歳から5歳頃まで:グリーンピース程度の量
- 6歳以降:歯ブラシ全体に行き渡る量
お子さんの年齢に合わせたフッ素濃度の歯磨き粉を選んであげてください。
仕上げ磨きのあとは、うがいのしすぎでフッ素が流れてしまわないよう、軽くゆすぐ程度にとどめるのもポイントです。
定期検診とフッ素塗布で、日頃の頑張りをサポートします
ご家庭でのケアに加えて、定期的に歯科医院でフッ素を塗布することも効果的な予防法のひとつです。
継続して行うことで、乳幼児のむし歯をほぼ半減させ、永久歯でも一定の予防効果が期待できるといわれています。
当院でも予防歯科に力を入れており、お子さまから大人の方まで、無理のないペースで通っていただける定期検診をご案内しています。
夏祭りシーズンの前後に一度チェックを受けておくと、より安心して屋台グルメを楽しんでいただけるかと思います。
分からないことがあれば、いつでもご相談くださいね。
よくある質問
Q: 綿あめとりんご飴、どちらが歯に悪いですか?
A: どちらが悪いと単純に比べることは難しく、それぞれ異なるリスクがあります。
綿あめは糖分の量、りんご飴は歯への付着時間の長さがポイントです。
量や食べる時間を工夫し、食後のケアを組み合わせれば、リスクを抑えながら楽しめます。
Q: かき氷を食べると頭がキーンと痛くなります。歯と関係がありますか?
A: いわゆるアイスクリーム頭痛と呼ばれる現象で、むし歯や知覚過敏とは別のものです。
ただし歯がしみる感覚と紛らわしいこともあるため、痛みが続く場合は歯科医院を受診してみてください。
Q: 夏祭りの後、子供が「歯が痛い」と言ったらどうすればいいですか?
A: まずはお水でうがいをさせ、様子を見てください。
痛みが続く場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
当院はお子さんの診療に慣れておりますので、歯医者を怖がるお子さんでも安心して来院いただけます。
Q: キシリトールガムはいつ噛むのが一番効果的ですか?
A: 食後や、間食をしたあとなど、お口の中が酸性に傾きやすいタイミングで噛むのがおすすめです。
外出時の補助ケアには無糖ガムを選び、歯磨きの代わりにはしないでください。
Q: 屋台の食べ物は我慢させたほうがいいですか?
A: 我慢する必要はありません。
食べる時間を区切り、食後のうがいや帰宅後の歯磨きを組み合わせれば、むし歯のリスクを抑えながら屋台グルメを楽しめます。
夏祭りの思い出を大切にしながら、お口の健康も守っていきましょう。
まとめ
夏祭りの屋台グルメは、食べる時間を区切り、食後のうがいや帰宅後の歯磨きを組み合わせることで、むし歯のリスクを抑えながら親子で楽しめます。
無糖ガムは外出時の補助に使い、帰宅後は丁寧な歯磨きを。
日頃のケアに定期検診や必要に応じたフッ化物歯面塗布を組み合わせることも大切です。
お口の健康は全身の健康にもつながっています。
小さな変化に気づくことが予防の第一歩です。
気になる症状やご不安なことがあれば、夏祭りの前後に関わらず、いつでも当院までご相談くださいね。
