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デンタルフロスの正しい使い方|歯ブラシだけでは落ちない汚れ対策

朝晩しっかり歯磨きをしているのに、なぜか歯と歯の間だけスッキリしない。
鏡を見ると、歯と歯の境目だけ白いものが残っている気がする。
そんな感覚を抱えたまま、なんとなく毎日を過ごしていないでしょうか。

豊中本町歯科クリニックで歯科衛生士をしています。
日々の口腔衛生指導の中で、実はこの「なんとなく」の正体がデンタルフロスの出番だったというケースに数え切れないほど出会ってきました。

この記事では、歯ブラシだけでは届かない汚れの正体から、フロスの選び方、正しい使い方、出血やにおいといったトラブルへの向き合い方、続けるコツまで、現場での指導経験を交えてお伝えします。

歯ブラシだけでは約60%の歯垢しか落とせません。フロスを併用し、歯の面に沿って動かすことで、除去率は約90%まで高まります。
目次

歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れが落ちない理由

歯と歯の間に汚れがたまりやすい理由

歯と歯が接している部分は、専門的には「コンタクトポイント」と呼ばれます。
ここは歯ブラシの毛先がどうしても入り込みにくい場所です。
換気扇の羽根の隙間や、家具と壁のわずかな隙間を思い浮かべてみてください。
掃除機のヘッドが届かず、いつの間にかホコリがたまっている、あの感覚に近いものがあります。

鏡の前でどれだけ丁寧に磨いても、この隙間は自分の目では確認しづらいもの。
だからこそ「磨いているつもり」で見過ごされがちです。

実際の歯科疾患実態調査でも、歯や口の状態について「ものがよくはさまる」と回答した方は55〜59歳で29.3%と、世代の中でも高い水準にのぼります。
歯間部の状態を気にしている方が少なくないことがうかがえます。

歯の表面にたまる白っぽいネバネバとした汚れは「歯垢」と呼ばれる細菌のかたまりです。
歯ブラシだけでこの歯垢を落とせる割合は60%程度にとどまり、デンタルフロスや歯間ブラシを併用すると90%近くまで引き上げられるというデータもあります。

実際に指導をしていても、歯と歯の間だけ歯ぐきが赤く腫れている患者さまは少なくありません。
歯ブラシだけで満足してしまうのは、もったいないことなんです。

当院の予防歯科のページでも、虫歯や歯周病を防ぐための日常ケアをご紹介しています。

歯間清掃をしている人はどのくらいいるのか

厚生労働省の令和6年歯科疾患実態調査によると、デンタルフロスや歯間ブラシを使って歯と歯の間を清掃している人は全体で54.2%。女性に限ると62.4%にのぼります。
30代から50代の女性であれば、すでに半数以上が実践している計算です。
まだ取り入れていない方は、実は少数派かもしれません。

歯と歯の間の汚れを放置すると、歯周病や虫歯、口臭のリスクが高まります。
同調査の口腔診査では、15歳以上で歯周ポケットが4mm以上ある方は47.8%、10歳以上で歯肉出血がある方は42.9%でした。

年齢を重ねるほど数値は高くなる傾向にあり、決して他人事とは言えない数字です。
日本歯周病学会も、歯周病は歯と歯の間から進行することが多いものの、歯ブラシだけでは磨ききれないと指摘しています。
フロスを習慣にすることは、こうしたリスクを下げる有効な手段のひとつです。

デンタルフロスの種類と選び方

ホルダータイプ(Y字型・F字型)の特徴

柄のついたホルダータイプは、片手で扱いやすいのが魅力です。
奥歯にも無理なく届き、力の加減もつかみやすいので、フロスをはじめて使う方やお子さまと一緒に使う場合に向いています。

1本ずつ使い切りになっているため、外出先や旅行先に持ち歩く際にも便利です。
ドラッグストアでは手に取りやすい価格帯のものも多く、まずは数種類を試してみて、自分の口に合う形を探すところから始めてみてください。

ロールタイプ(糸巻きタイプ)の特徴

指に巻きつけて使うロールタイプは、毎回清潔な部分を使えるのが利点です。
歯と歯の隙間の形に合わせて、指の間隔や角度を微調整できる自由度の高さも特徴です。

慣れると1本で口全体をカバーできるので、コスト面でも扱いやすくなります。
糸の太さや素材にも種類があり、フワフワとした膨らむタイプは歯と歯の間が狭い方でも通しやすいと感じる方が多い印象です。

初心者はどちらを選ぶべきか

現場での感覚としては、まずはホルダータイプで動きに慣れてから、ロールタイプに挑戦する流れがおすすめです。
ワックスタイプは滑りがよく歯の間に入りやすいので、はじめての方に向いています。
慣れてきたらアンワックスタイプで、汚れの触れる感覚を確かめてみるのもよいでしょう。

どちらのタイプが正解ということはありません。
大切なのは、無理なく手が伸びる形を見つけることです。

デンタルフロスの正しい使い方【手順解説】

ホルダータイプ・ロールタイプそれぞれの使い方の手順

手順はどちらのタイプも基本は同じです。

  1. フロスを歯と歯の間に、のこぎりを引くように前後させながらゆっくり入れる
  2. 歯と歯ぐきの境目の溝(歯肉溝)まで、無理のない力で滑り込ませる
  3. 片方の歯の面に沿わせて、上下に数回動かして汚れをかき出す
  4. もう片方の歯の面にも同じように沿わせて動かす
  5. ゆっくりと引き抜く。ロールタイプは次の部位に移るたびに、清潔な部分に巻き替える

一気に力を入れて押し込むと、歯ぐきを傷つけてしまうことがあります。
ゆっくり、丁寧に。これだけは守ってほしいポイントです。

特に奥歯は鏡が見づらく力加減もつかみにくいので、最初はホルダータイプで慣らしておくと安心です。

1回あたりの目安は口全体で2〜3分程度。
歯ブラシの後にこの時間を足すだけで、ケアの質はぐっと変わります。
手順の詳細は、厚生労働省のe-ヘルスネット「歯間部清掃」でも確認できます。

使うタイミングと頻度(歯磨きの前か後か)

「フロスは歯磨きの前と後、どちらが正解ですか」という質問は、診療の中でも本当によく聞かれます。
当院では、フロスを先に使うことをおすすめしています。
歯と歯の間の汚れを先に浮かせておくと、その後の歯磨きで洗い流しやすくなるからです。

とはいえ、一番大切なのは前後どちらかということより、毎日続けられることです。
頻度は1日1回、夜の歯磨きのタイミングに合わせるのが基本ライン。
朝は時間に追われがちという方も多いと思いますので、まずは夜だけ、というところから始めても構いません。
無理のない形で、まずは1日1回から始めてみてくださいね。

デンタルフロスで起こりやすいトラブルと対処法

出血する場合

フロスを使い始めて出血に驚く方は多いのですが、軽い出血には歯ぐきの炎症が関係していることがあります。
適切な歯間清掃を続けると落ち着く場合もありますが、強く押し込まず、やさしく動かすことが大切です。

使い始めの軽い出血は1週間ほどで治まることがあります。
1週間ほど続く場合、繰り返し出血する場合、腫れや痛みを伴う場合は、早めに歯科医院へ相談してください。

においが気になる場合(セルフチェック活用法)

使い終えたフロスのにおいを確かめてみたことはありますか。
気になるにおいがあった部位は、磨き残しや歯ぐきの炎症が起きているサインかもしれません。
その部位のセルフケアを見直す目安にしてみてください。

ただし、においだけで歯ぐきの状態やケアの効果を判断することはできません。
強いにおいが同じ部位で続く場合は、歯科医院で確認してもらいましょう。

引っかかる・切れる・しみる場合

特定の場所でだけフロスが引っかかったり切れたりする場合、詰め物や被せ物の劣化、あるいは虫歯の初期サインが隠れていることがあります。
しみるような感覚がある場合も同様です。

同じ箇所で毎回同じようにひっかかるようなら、それは体からの小さなサインかもしれません。
気になる箇所があれば、自己判断せずに歯科医院でのご相談をおすすめします。

ライフステージ・お口の状態別の注意点

お子さまのデンタルフロス(仕上げ磨きでの取り入れ方)

隣り合う2本の歯が接するようになったら、歯ブラシだけでは歯間部を清掃しにくくなります。
この時期から、保護者の方による仕上げ磨きの一環としてホルダータイプのフロスを取り入れてみてください。
慣れないうちは短時間で切り上げ、少しずつ時間を延ばしていくのがコツです。

「歯医者さんは怖い場所ではないんですよ」と伝えながら、遊び感覚で慣れてもらうのもおすすめです。
当院の小児歯科でも、お子さまのペースに合わせたケアをご案内しています。

妊娠中の方の場合

妊娠中はホルモンバランスの変化で歯ぐきが炎症を起こしやすくなる時期です。
体調に配慮しながら、歯磨きと歯間清掃を続けることが大切です。

フロスは歯ブラシの代わりではなく、歯ブラシが届きにくい歯間部を補うケアとして使います。
つわりがつらいときは無理をせず、続けやすい方法を歯科医院で相談してください。

詰め物・被せ物・矯正装置がある場合

詰め物や被せ物の境目は段差ができやすく、汚れがたまりやすい場所です。
フロスは問題なく使えますし、むしろ積極的に取り入れてほしい部位でもあります。

矯正歯科の装置がある場合は、通常のフロスをワイヤーの下へ通す「フロススレッダー」や、硬い挿入部が一体化した「スレッダー付きフロス」が便利です。
ワイヤーの下に糸を通し、歯と歯の間まで導いてから通常と同じように動かします。
最初は時間がかかっても、慣れれば数分の作業になります。

忙しくても続けられる、フロス習慣化のコツ

生活導線に組み込む工夫

「わかってはいるけれど、続かない」というお悩みも、診療の中でよく耳にします。
忙しい毎日の中で新しい習慣をゼロから作るのは、想像以上に負担が大きいものです。

そこでおすすめしたいのが、すでにある生活の流れの中に組み込んでしまう方法です。

  • お子さまの仕上げ磨きのついでに、自分の分も済ませる
  • 洗面台の目につく場所にフロスを置いておく
  • 夜のスキンケアやドライヤーのタイミングと合わせる

完璧な頻度を目指すより、まずは無理なく続けられる形を探してみてください。

歯科衛生士がすすめる続け方

現場での経験から感じるのは、続けられる方に共通しているのは「完璧を目指さない」ということです。
歯磨きが苦手だとおっしゃっていた患者さまに、まずは歯間ブラシから提案してみたところ、半年後の検診で歯周ポケットの数値がしっかり改善していたことがあります。

最初から毎日、口全体を丁寧に、と意気込むと長続きしません。
むしろ「今日は前歯だけ」でもいいので、フロスを手に取る習慣そのものを先に作ってしまうことをおすすめしています。

無理のない範囲で続けることが、歯間ケアを習慣にする第一歩です。
気になることがあれば、定期検診の際にお気軽にご相談くださいね。

よくある質問(FAQ)

Q: デンタルフロスは毎日しないといけませんか?

理想は毎日1回ですが、最初から完璧を目指す必要はありません。
まずは週に数回、できる日から始めてみてください。
慣れてきたら夜の歯磨きにセットで組み込むと、自然と毎日の習慣になっていきます。

Q: デンタルフロスをすると血が出ます。続けても大丈夫ですか?

軽い出血には歯ぐきの炎症が関係していることがあり、適切な歯間清掃を続けると落ち着く場合があります。
強く押し込まず、やさしく動かしてください。
1週間ほど続く場合、繰り返し出血する場合、腫れや痛みを伴う場合は、早めに歯科医院へ相談しましょう。

Q: デンタルフロスと歯間ブラシ、どちらを使えばいいですか?

歯と歯の間の隙間が狭い部位はフロス向きです。
日本歯周病学会も、進行した歯周病やインプラントがある部位では歯間ブラシが有効だと案内しています。
隙間の広さは場所によっても違うため、前歯はフロス、奥歯は歯間ブラシというように、部位ごとに使い分けている方も少なくありません。
ご自身のお口の状態に合わせて、歯科医院で相談しながら使い分けるのが理想的です。

Q: 子供にはいつからデンタルフロスを使わせたらいいですか?

隣り合う2本の歯が接し、歯ブラシだけでは間を清掃しにくくなった時点が目安です。
最初は保護者の方が仕上げ磨きの一環として取り入れてあげてください。
お子さまが自分で扱えるようになるまでは、保護者の方によるサポートが安心です。

Q: 詰め物や被せ物がある歯にもデンタルフロスを使えますか?

問題なく使えますし、むしろ境目の汚れがたまりやすいため積極的に取り入れてほしい部位です。
ゆっくりと丁寧に動かせば、境目を傷つける心配もありません。
フロスが引っかかって外れそうな感覚がある場合は、歯科医院でご確認ください。

まとめ

歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを落としきることはできません。
ホルダータイプかロールタイプか、ご自身に合ったものを選び、正しい手順で、無理のない頻度から始めてみてください。

出血やにおいが気になったときは、体からのサインとして受け止めるくらいの気持ちで大丈夫です。
お子さまや妊娠中の方、詰め物や矯正装置がある方も、それぞれの状況に合わせた形でフロスを取り入れられます。

未来の自分の歯のために、今日からできることを一つずつ。
私たち衛生士がしっかりサポートしますので、歯のことで気になることがあれば、豊中本町歯科クリニックまでお気軽にご相談ください。

ご予約はお電話(06-6855-9999)または24時間受付のWEB予約からどうぞ。
阪急豊中駅から徒歩3分です。診療時間・アクセスもあわせてご確認ください。

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