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歯が痛いけどすぐに歯医者へ行けない時の応急処置と注意点

突然の歯の痛み、つらいですよね。仕事中や夜中、休日など、すぐに歯医者へ行けないタイミングに限って痛み出す。そんな経験がある方は多いのではないでしょうか。

冨士田歯科医院で歯科衛生士をしております。毎日たくさんの患者さんのお口を診ていますが、「急に痛くなってどうしたらいいかわからなかった」というご相談は本当に多いです。

この記事では、受診までの間にご自宅でできる応急処置の方法と、ついやりがちなNG行動をお伝えします。ただし、応急処置はあくまで「受診までの時間稼ぎ」です。痛みの根本的な原因を取り除くには、歯科医師の診察が必要です。その点だけは最初にお伝えしておきますね。

歯の痛みは、冷やす・清潔にする・薬を正しく使うの順で落ち着いて対処します。ただし応急処置は原因を治すものではなく、受診までの時間をつなぐための行動です。
目次

歯が痛い時にまず試したい応急処置

歯の痛みを感じたら、まず落ち着いて、自宅にあるもので対処してみましょう。ここでは、受診までの間にできる3つの応急処置をご紹介します。

頬の外側から冷やすのが正解|直接冷やすのはNG

患者さんからよく聞かれるのですが、「氷を直接歯に当てていました」という方が結構いらっしゃいます。実はこれ、逆効果になることがあります。

歯の痛みを冷やして和らげるときは、頬の外側からがポイントです。

  • 保冷剤や氷をタオルで包んで、痛む側の頬に当てる
  • 濡れタオルを頬に当てるだけでもOK
  • 冷却シートを貼る方法も手軽

冷やす時間の目安は「10分冷やしたら10分休む」のサイクルです。長時間冷やし続けると、皮膚や周囲の組織にダメージを与えてしまう可能性があります。

直接氷を口に含んで患部に当てるのは、刺激が強すぎて痛みが悪化するケースも。特に知覚過敏がある方は、冷たいものが直接歯に触れるとキーンとしみて余計につらくなります。

ぬるま湯うがいで口の中を清潔にする

歯と歯の隙間や歯茎との境目に食べかすが詰まっていると、それが痛みの原因になっていることがあります。ちょっとしたことですが、汚れを取り除くだけでラクになる場合もあるんです。

まずはぬるま湯(体温くらいの温度)で、やさしく口をすすいでみてください。塩水うがいも効果的です。コップ1杯のぬるま湯に小さじ半分ほどの塩を溶かしたもので、30秒ほどゆっくりうがいをすると、口の中の細菌を減らす効果が期待できます。

食べかすが見える場合は、やわらかめの歯ブラシやデンタルフロスを使ってそっと取り除きましょう。ただし、強くブラッシングしたり、爪楊枝でゴリゴリこすったりするのは厳禁。患部を刺激して炎症が悪化する原因になります。

ツボ押しやその他の痛み緩和法

「合谷(ごうこく)」というツボをご存じですか? 手の甲側にある、親指と人差し指の骨が合流するあたりのくぼみです。歯痛の緩和に効果があるとされるツボで、反対の手の親指でやや強めに3〜5秒押して離す、これを5回ほど繰り返します。

効果には個人差がありますし、あくまで補助的な方法です。ただ、薬が手元にないときに試してみる価値はあります。

そのほか、日常生活で気をつけたいこともあります。

  • 痛む側の歯ではなるべく噛まない
  • 横になるときは枕を高めにする(頭部に血液が集まりにくくなり、痛みが軽減されやすい)
  • 刺激の強い食べ物(辛いもの・熱いもの・冷たすぎるもの)は避ける

このあたりに注意してお過ごしください。

市販の痛み止めの正しい選び方と飲み方

歯が痛い時、市販の痛み止めに頼る方は多いと思います。ただ、ドラッグストアに並ぶ鎮痛薬は種類が多く、どれを選べばいいか迷いますよね。ここでは、代表的な成分の違いと服用時の注意点をお伝えします。

ロキソプロフェン・イブプロフェン・アセトアミノフェンの使い分け

市販の痛み止めに含まれる代表的な成分は、大きく3つに分けられます。

成分分類特徴医薬品分類
ロキソプロフェンNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)鎮痛・抗炎症作用が強い。歯科でもよく処方される成分第一類医薬品(薬剤師の説明が必要)
イブプロフェンNSAIDsロキソプロフェンと同じ系統。鎮痛効果はやや穏やか指定第2類医薬品
アセトアミノフェン中枢性鎮痛薬脳の中枢神経に作用して痛みを抑える。胃への負担が少ない第二類医薬品

ズキズキと脈打つような強い痛みには、炎症を抑える力が強いNSAIDs系(ロキソプロフェンやイブプロフェン)が向いています。一方、胃が弱い方や比較的軽い痛みには、アセトアミノフェンのほうが負担が少なく使いやすいです。

NSAIDs系は炎症部位で痛みのもとになる物質(プロスタグランジン)の生成を抑え、アセトアミノフェンは脳や脊髄の中枢で痛みの信号をブロックします。作用のしくみが異なるため、「どれでも同じ」ではありません。ご自身の症状や体質に合ったものを選んでください。

判断に迷ったら、ドラッグストアの薬剤師さんに相談するのが確実です。

痛み止めを飲むときに知っておきたいこと

当院に来られる患者さんで、痛み止めの飲み方が自己流になっている方がとても多いです。正しく服用しないと、期待した効果が得られなかったり、体に余計な負担がかかったりします。

守っていただきたい基本ルールは以下の通りです。

  • 服用間隔は最低4〜6時間空ける(パッケージの表記を確認してください)
  • 空腹時の服用は避け、何か軽く食べてから飲む
  • 用法・用量は必ず守る。「痛いから多めに」は絶対にNG
  • 効果が出るまで30分〜1時間かかるので、焦らず待つ

痛みが治まっても、それは薬が効いているだけです。効果が切れればまた痛みが戻る可能性が高いので、「治った」と思い込まないでください。

妊娠中・授乳中の方、胃腸の持病がある方、ほかの薬を常用している方は、市販薬を飲む前に必ず薬剤師さんに相談してください。

歯が痛い時にやってはいけないNG行動

応急処置を知ることと同じくらい大切なのが、「やってはいけないこと」を知ることです。よかれと思ってやった行動が、痛みを悪化させてしまうケースは少なくありません。

血行がよくなる行動は痛みを悪化させる

「お酒を飲んだら痛みが引いたので大丈夫かと思った」という患者さんの声をよく聞きます。たしかに、アルコールには一時的に神経を麻痺させる作用があるので、飲んだ直後は痛みが和らいだように感じるかもしれません。

ですが、飲酒は血管を拡張させて血流を増やします。すると、炎症を起こしている部分の内圧が上がり、後からもっと強い痛みが襲ってくるんです。

同じ理由で、以下の行動も控えてください。

  • 熱いお風呂に長時間つかる(ぬるめのシャワーで済ませましょう)
  • 激しい運動やランニング
  • サウナや岩盤浴

要するに「体が温まって血行がよくなる行動」は、歯の痛みにとっては全部NGです。

患部を触る・温める・自己判断の処置はNG

痛みがあるとつい気になって、指や舌で患部を触りたくなりますよね。でも、指で直接触ると細菌が入り込んで感染リスクが高まります。爪楊枝でつつくのも同様です。

そのほか、意外とやってしまいがちなNG行動をまとめます。

  • 患部をカイロや温湿布で温める(炎症が悪化します)
  • 以前もらった抗生物質を自己判断で飲む(適切な種類・量でなければ効果がないうえ、耐性菌のリスクも)
  • 正露丸を虫歯に詰める方法は添付文書に記載された正式な用法ですが、あくまで一時的な鎮痛であり、虫歯の治療にはなりません。これだけで安心せず、必ず歯科を受診してください
  • タバコを吸う(ニコチンや一酸化炭素が血管を収縮させ、回復を遅らせます)

どれも「やらないだけ」で防げることばかりです。覚えておいてくださいね。

痛みの種類で見分ける歯のトラブルサイン

歯の痛みにはいくつかのパターンがあり、それぞれ原因が異なる可能性があります。「どんなふうに痛いか」を把握しておくと、歯科医院を受診した際にスムーズに症状を伝えられます。

ズキズキ・キーン・じわじわ…痛みのパターンと考えられる原因

痛みの感じ方考えられる原因の例
ズキズキと脈打つように痛い虫歯が神経まで進行した状態(歯髄炎)、歯の根の先の炎症(根尖性歯周炎)
冷たいもの・甘いもので一瞬キーンとしみる知覚過敏、初期〜中期の虫歯
じわじわと歯茎全体がうずく歯周病の進行
噛むと痛い・押すと響く歯根膜炎、歯のひび割れ(クラック)
奥歯のあたりが腫れて痛い親知らずの炎症(智歯周囲炎)

これはあくまで「こういう可能性がある」という目安です。同じ症状でもまったく別の原因ということはよくあります。正確な診断は歯科医師にしかできませんので、自己判断で放置しないようにしてください。

令和4年歯科疾患実態調査によると、歯周ポケットが4mm以上あるやや進行した歯周病の歯がある人の割合は、全体で47.9%。ほぼ2人に1人が歯周病のリスクを抱えています。歯茎がうずくような痛みは、「大したことないだろう」と見過ごされがちですが、早めに気づいて対処することが大切です。

こんな症状があったら我慢せず受診を

以下の症状がある場合は、応急処置だけで様子を見るのではなく、できるだけ早く歯科医院を受診してください。休日や夜間であれば、お住まいの地域の歯科医師会のホームページや市区町村の公式サイトで休日・夜間歯科救急の情報を確認できます。

  • 顔が腫れている
  • 38度以上の発熱がある
  • 出血が止まらない
  • 痛み止めを飲んでも全く効かない
  • 口が開けにくい、開けると強く痛む

迷ったら、まず歯科医院にお電話ください。「こういう状態なんですが」と伝えるだけで、すぐ来た方がいいか、応急処置で明日まで待てるか、判断の助けになります。

痛みが治まっても歯医者へ行くべき理由

応急処置で痛みが落ち着くと、「もう大丈夫かも」と感じてしまう方が少なくありません。でも、これが一番怖いパターンなんです。

応急処置はあくまで「時間稼ぎ」

痛み止めで痛みが引いたとしても、虫歯の穴がふさがるわけではありません。歯周病の炎症が消えるわけでもありません。痛みの原因はそのまま残っています。

虫歯は自然に治ることはなく、放置すれば確実に進行します。歯周病も、自覚症状がほとんどないまま静かに進んでいく病気です。

「痛みが引いた=治った」ではなく、「痛みが引いた=今のうちに歯医者へ行こう」と考えていただけると嬉しいです。

放置した先に待っているリスク

虫歯を放置すると、やがて神経が死んでしまいます。神経が死ぬと痛みを感じなくなるため、「あ、治った」と勘違いしやすいのですが、実際には歯の中で細菌がどんどん増殖している状態です。最終的に歯の根の先に膿がたまり(根尖病巣)、ここまで進行すると抜歯しか選択肢がなくなるケースもあります。

歯周病の放置も深刻です。歯を支えている骨(歯槽骨)が徐々に溶けていき、最終的に歯がグラグラになって抜け落ちてしまいます。

さらに、口の中の細菌は全身にも影響を与えます。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、歯周病と糖尿病には双方向的な関連があると解説されており、歯周病の治療が血糖コントロールの改善につながるという報告もあります。心疾患や誤嚥性肺炎との関連も指摘されています。

「たかが歯の痛み」と思わず、体全体の健康を守るためにも、早めの受診をおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q: 歯が痛いとき、冷やすのと温めるのはどちらが正しいですか?

基本的には「冷やす」が正解です。歯の痛みの多くは炎症が原因で起きており、温めると血流が増えて炎症が悪化し、痛みが強くなる場合があります。

ただし、冷やし方にはコツがあります。氷を直接歯に当てるのではなく、タオルで包んだ保冷剤や濡れタオルを頬の外側から当ててください。10分冷やして10分休む、このサイクルを繰り返すのが安全な冷やし方です。

Q: 痛み止めを飲んでも歯の痛みが治まらない場合はどうすればいいですか?

用法・用量を守って服用しても、30分〜1時間経って全く効果がない場合は、炎症がかなり進行しているか、痛みの原因が薬でカバーできるレベルを超えている可能性があります。

そのようなときは追加で薬を飲むのではなく、休日・夜間対応の歯科救急を探して受診してください。お住まいの地域の歯科医師会に問い合わせると、休日急患診療の情報を教えてもらえます。

Q: 子供の歯が痛い時も大人と同じ対処法でいいですか?

冷やす・ぬるま湯で口をすすぐ・食べかすを取り除くなど、基本の応急処置はお子さんにも共通です。

ただし、痛み止めの選び方は注意が必要です。ロキソプロフェンやイブプロフェンの市販薬は15歳以上が対象で、お子さんには使えません。小児用にはアセトアミノフェンを主成分とした薬(小児用バファリンCIIなど、3歳から服用可能なもの)を選んでください。大人用の薬を量を減らして与えるのは絶対にやめてください。

小さなお子さんは痛みの場所や程度をうまく伝えられないこともあります。食事を嫌がる、機嫌が悪い、頬を押さえるなどのサインがあれば、早めに歯科医院に連れて行ってあげてくださいね。

Q: 歯が痛くて夜眠れない時はどうすればいいですか?

夜中に突然歯が痛くなるご相談は本当に多いです。夜間は副交感神経が優位になり血管が拡張するため、日中よりも痛みを強く感じやすくなります。

まず痛み止めを服用し、頬の外側から冷やしてください。寝るときは枕を少し高くすると、頭部に血液が集まりにくくなり、痛みが和らぎやすくなります。お風呂は避けて、ぬるめのシャワーだけにしましょう。

それでも眠れないほどの強い痛みが続く場合は、翌朝一番に歯科医院に連絡してください。

Q: 歯の痛みが自然に消えました。もう歯医者に行かなくても大丈夫ですか?

「痛くなくなったからもう大丈夫」と思ってしまう気持ちはよくわかります。でも、痛みが消えたからといって原因が解決したわけではありません。

虫歯が進行して神経が死んでしまうと、痛みを感じなくなります。これは「治った」のではなく「悪化した」サインです。痛みがなくなった歯の中で細菌が繁殖し、気づかないうちに症状が深刻化しているケースは珍しくありません。

痛みが消えた今こそ受診のチャンスです。痛い最中に行くより、落ち着いた状態で診てもらったほうが、検査も治療もスムーズに進みます。

まとめ

歯が痛いのにすぐ歯医者へ行けない。そんなときは、まず頬の外側から冷やし、ぬるま湯でうがいをして、必要に応じて市販の痛み止めを正しく使ってください。飲酒・入浴・患部を触るなどの血行を促す行動は、痛みを悪化させるので控えましょう。

繰り返しになりますが、これらの応急処置はあくまで「受診までの時間稼ぎ」です。痛みが治まっても、必ず歯科医院で原因を診てもらってください。

私たち冨士田歯科医院のスタッフは、不安な気持ちで来院された方が、帰るときに「来てよかった」と思ってもらえるように、日々のケアに向き合っています。気になることがあれば、遠慮なくご相談くださいね。

お電話(06-6327-4182)でのご予約のほか、24時間ネット予約も受け付けています。阪急淡路駅前ですので、お仕事帰りやお買い物のついでにもお立ち寄りいただけます。

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